2008年7月8日火曜日

竜馬がゆく(二)

司馬遼太郎

黒船来港以来、猛然とわき上がる勤王・攘夷勢力。
土佐でも、先進の薩長に遅れまいと、クーデターを起こし、藩ぐるみの勤王化を行い、天下へ押し出そうとする武市半平太のやり方に、限界を感じた坂本竜馬は、さらに大きな飛躍を求め、脱藩を決意。

中岡
「武市先生は違います。剣を天下のことに活かそうとなさっています。だからこそ、敬慕しています。が、先生のお隣にいらっしゃる方は単なる剣客で、せっかく腰間に剣を帯びながら今天下がどうなっているか、われわれ若い者は何に向かって命を捧ぐべきか、お考えになっているような御様子はない。」

お田鶴さま
「またお説教ですか。お田鶴さまは、京でご高承なさるからいよいよお説教に磨きがかかって参りましたな。」
「まぁ、そうかしら。そのようでは、あの・・・困るのです。」
「婦人が説教上手でも構わぬ事じゃ。知恩院の尼どのは、みなそのようなことをしているそうじゃ。」
「竜馬どのは、やはりばかでございますね。尼様と同じだといわれて喜ぶおなごはありませぬ。」

乙女に脱藩前の挨拶
「私が竜馬でも、脱藩します。男でないのが、悔しいくらいです。太平の世なら別。こんな時勢に女に生まれてきたことは、悔しくて仕方がありません。」


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