2008年7月24日木曜日

察知力

中村俊輔

座右の銘に、「生き残る者は、強い者でも賢い者でもなく、変化に対応できる者だ。」というのがある。
本書で述べられている「察知力」というのは、瞬時に状況判断をして正解を導く力。

中3の時に、自分のポジションに慢心し、レギュラーを外された苦い経験。
引き出しをたくさん用意し、どんなポジションでもこなせるよう、レーダーチャートで円になるような選手を目指す。
要求を察知して、それに応える準備をする。

試合後の筋トレを終え、風呂につかっているときは、反省ばかりしていることも少なくない。
歯が立たない、自分はまだまだだと思えたら、それはそれで素晴らしいことだと感じている。その課題を克服すれば、「また自分の引き出しが増えるな」と。
「伸張はいつか必ず伸びるから、今は技術を磨け。」子供の気持ちを想像したアドバイスができればと思っている。
大事なのは、常に未来を察知して、自分には何が足りなくて、何が必要なのか、機器を察知して準備すること。
「体験」を記しておくことで、人生の無駄な時間を節約できる。
いつものポジションではないところで起用されたときに「どうして僕が・・・」と思う前に、「監督は何を求めて、僕をそのポジションに起用したのか」を考える。すなわち、求められていることを察知し、どの引き出しを開けば要求に応えるかを考えるのだ。
嫌だと感じることであっても、逃げないで飛び込んでいけば何かがあるんだということを知った。
ただ環境を変えるだけではダメだと思う。
「未来の自分」「なりたい自分」を想定し、そのために必要な環境を選ぶこと。環境を変えることが、現状からの逃避で終わってしまうこともあるから。
イタリア人は、新入りをいじることが大好きで、色んなシーンでこちらにちょっかいを出してくる。
どこであっても、馴染もうとする努力をしなければ、受け入れられはしないだろう。

「今までやってきたこと」と「今できること」をしっかりとやったうえで、それに肉付けをするイメージで次の事へと挑戦しようと考えた。

100%一生懸命、力を尽くすことができれば、成功となる。

「お前らの言い合いなんて、聞きたくねぇ。さっさと次のプレーに集中しろ。」

「考える力」は武器となる。だからこそ、年を重ねれば重ねるほど、今まで以上に空気を読み、察知し、考える力を磨いて行かなくちゃいけないと思う。


2008年7月22日火曜日

脳と気持ちの整理術

築山節

目の前に難しい問題があって、不安になっているとき、どうやって前向きさを取り戻していけばいいか。
やらなければいけないことがありすぎるとき、思考をどう整理すればいいか。
自分を理性的にコントロールするために、何が大切か。

前向きな自分を作る
・できることが増えると、好きになる。
・5歩先のゴールに到達する1歩目を見つける。

やる気が出ないときの対処法
・「短時間の集中x多数」で脳を活性化。
・「難しい問題を解くために、机にかじりつく」だけではなく、「テキパキと簡単な作業をしている状態」を意図的に作る。

脳をリフレッシュさせる方法
・仕事や勉強のやり方に変化をつけよう。

脳のエネルギー供給先を明確にしよう
・「次に何をするのか」を脳にはっきり認識させよう。
・前日の夜に、それを書き出すか、準備・予習をする習慣を持とう。

まず「誰のために」を考えよう
・まず「誰のために」を考え、日々の行動目標を具体的にしよう。
・意欲を高めるエネルギー源として、人からの感謝や評価を集めよう。

「見えない敵」が脳を混乱させる
・「現状を正確に把握し、感情系だけに刺激を与えている問題に思考系の分析を加えていく」

時間的整理
・全ての仕事や問題に、「今の私」が対処しなければいけないと考えるとパニックに陥る
・一ヶ月の仕事は、「30日分の私」で対処すればいいのです。

空間的整理
・物を整理することが「思考のフォーカス」を容易にする。

仕事をため込まないようにするコツ
・「まとまった時間ができることなど無い」
・大きな問題は、細切れの時間にコツコツと

記憶を強化する技術
・入力はただの入力ですが、出力は常に「出力+再入力」です。
・キーワードを拾いながら、本を読む、議事録をまとめると理解が速くなる

アイデアを生み出す技術
・「情報」と「制約」を脳に与え、自動的な思考の整理を進ませよう。
・アイデアが個人の感情とどうかするのを防ぐ、新たなアイデアを生み出すための刺激を常に与える、突飛なアイデアを混ぜることで、思考の型を崩す
・夜は脳にブレーキがかかりにくく、極端なことを考えやすくなっているため、「悲しい話は夜するな」「アイデアも夜考えない方が良い」
・教科書的な考えとの差異が、新しい価値になる。
・前提条件を繰り返し確認し、現実を冷静に把握しよう。
・問題解決のゴールは一つではない。

気持ちの整理術
・快でも不快でも、強い感情が発生した後には、感情があまり発生しない地味な仕事や勉強をコツコツやっているような時期、時間帯を設けるようにした方が良い。
・「好ましいこと・少し嫌なこと・すごく嫌なこと=6・3・1」のバランスで考える
・同じ言葉や体験でも、それに対する自分の解釈を変えることによって、快の刺激にも不快の刺激にもすることができます。
・明確な目標を持っている人は、自然とそこに向かいやすいので、「その時の感情」だけにとらわれにくい。


2008年7月16日水曜日

地球幼年期の終わり

アーサー・C・クラーク

各国の宇宙開発競争をあざ笑うかのように、突如として、未知の大宇宙船団が地球に降下してきた。
彼らは、他の太陽系から来た超人で、地球人とは比較にならぬほどの高度の知能と能力を備えた全能者であった。
彼らは地球を全面的に管理し、戦争や病気や汚職といった人間の悪の全てを一掃し、戦争や競争などの醜い争いのない、地球にグローバルな理想社会が出現した。
この全納者たちの地球来訪の真意は?

カレレンはさげすむかのように、黙殺し、責任者たちに来もしない報復をハラハラ待たせておいた。
どんな刑罰行為より遙かに効果的であり、また人の気をくじく措置だったのである。

ここでは、既成観念は全然通用しない。五感を通じて頭の中に伝わってきたことは、たとえ理性が拒否しても、そのまま素直に受け取ること。分かろうとしてはいけない。ただ観察すればいいのだ。
いずれ後になって理解できることは理解できる。


2008年7月12日土曜日

20万円でスーパーコンピュータを作る

伊藤智義

サイエンスの世界の人間ドラマ。
分野が違うような人でも読みやすく書かれていると思いますし、おススメです。

GRAPEという天文学分野において使われるシミュレーター用に最適化されたスーパーコンピュータを作る、というノンフィクション。

  • 常のパソコンなどに比べて格段に速い計算を行うスーパーコンピュータ。
  • 数十億〜数百億円をかけて、時には国策として開発が行われるが、この分野でひときわ異彩を放つスーパーコンピューターが話題を呼んだ。
  • GRAPEと名付けられたそれは、開発費わずか20万円。天文学者たちによる手作りで、天文計算においては驚異的な計算速度を誇り、画期的な成果を挙げた。
  • 無味乾燥に見える科学の世界の裏側で繰り広げられた熱い人間ドラマ。

筆者の自伝的内容で、途中脱線したりしますが、漫画の原作者という経験があったからこそ、この研究内容も日の目を見ることになったのかもしれません。

「無知」はときとして、物事を動かす原動力となる。幸い伊藤も牧野と同様、与えられたテーマを「簡単そう」に思いこんだ。伊藤は、中級者ならば二の足を踏むようなテーマに、躊躇せずに取り組んでいく。
「完全主義にこだわるのを辞めると、新しい道が見えてくる。」
「世界一の研究を成し遂げるには方法が二つある。一つは世界一頭が良くなること。もう一つは世界中で誰もやっていないことをやること」

2008年7月11日金曜日

絆のはなし

斉藤和義×伊坂幸太郎

伊坂幸太郎は,「アイネクライネ」という短編を書き下ろして、それを元に,斉藤和義は「ベリーベリーストロング~アイネクライネ~」という曲を制作.
本書はそんな軌跡のような出会いを男二人が語りつくした”絆のはなし”.

私は,斉藤和義ファンで,伊坂幸太郎という人はベリーベリーストロングを聞くまで知りませんでした.

ベリーベリーストロングは,いかにも斉藤和義っぽいロックで,今までの曲の中でもすごい好きだったし,歌詞の印象も最初から強かった.
メッセージ性があるというより,情景を頭にふわっと浮かばせるような感じ.
街頭で、ボクシングの試合を見ながらアンケート調査してる景色が目に浮かびますよ。

短編小説が付いたシングル購入し,アイネクライネと斉藤さんを読み,その小説と歌の歌詞の世界観のつながりに心底驚いて感動しました.
歌詞を読んでから小説を読むと・・・「え,この後はこんな話があったんだ」って,今までにない楽しみ方をさせていただきました.

で,本書について.
伊坂幸太郎さんがこんなに斉藤和義ファンだとは知りませんでした.途中,僕も伊坂さんの横に座って,斉藤和義のことを一緒に語ってるような感覚になりました.

いまから5年前.会社勤めをしながら小説を書いていた伊坂幸太郎は,斉藤和義の「幸福な朝食 退屈な夕食」という曲をきっかけで小説に専念することを決意する。
幸福な朝食 退屈な夕食は僕もすごい好きな曲で影響を受けてると思う.

伊坂幸太郎の本も読んでみようと思ったきっかけになった本でした.

2008年7月9日水曜日

7つの習慣

スティーブン・R・コヴィー

言わずとしれた、名著。

重要と緊急の軸で物事を考えたときの第二領域の重要性。
思いやりと勇気の双方を満たしたときにWin-Winとなる。
原則中心な、第四世代の時間管理方法。

何度も読み返したい本。

第一の習慣:主体性を発揮する
発言・考え・行動を他人にゆだねる人にならず、自ら選択する主体性を持つ。

第二の習慣:目的を持って始める
還俗第一の生き方を選び、安定性・方向性・知恵・力を得る。

第三の習慣:重要事項を優先する
物や時間に集中せず、「大切な人間関係」「生活における自分の役割」「目的の達成」に焦点を合わせて、計画する。

第四の習慣:Win-Winを考える
勇気と思いやりのバランスを保ち、相手の立場から望まれる結果を考え、常に信頼残高の預け入れを怠らない。

第五の習慣:理解してから理解される
評価・助言・探る・解釈するために話を聞くのではなく、内容を自分の言葉で言い、相手の感情を反映する。

第六の習慣:相乗効果を発揮する
相違点こそが自分の知識と現実に対する理解を増す。違う意見の裏付けを理解する。コミュニケーションは信頼・協力が共に高いレベルになって、相乗効果を発揮できる。

第七の習慣:刃を研ぐ
肉体・知性・精神・社会情緒の4つを、それぞれトレーニング・読書・第二領域へ誘う自己リーダーシップ・奉仕でもって、バランス良く改善していくことが必要。


2008年7月8日火曜日

世界一ぜいたくな子育て

長坂道子

「なんでも手に入れたい世代」の女性たちが、子供を産む時代になった。ファッション誌編集者として二十代を過ごし、渡米した筆者は、現地で結婚し、家族と共に欧米諸国を移り住む課程で、様々な国籍の同世代の女性たちの「出産」「子育て」を取材する機会を得る。
それぞれの文化の文脈に応じた子育てへの取組方は大きく異なっていた。

母性を当然として受け入れるか、それを振りかざすのを嫌うか・・・それが大きな違いとしてあらわれていると思う。
それによって、夫として受け入れる異性のタイプも異なるのも当然。

女性の出産に対する見解から、文化の違いを知るには良い本だと思います。

歴史を通してみたときに、母乳育児が流行る時代っていうのは、労働力過剰の時代に何故か呼応している、というような話を聞いたことがあります。つまり、女が家の中に閉じこもっていてくれた方が都合が良い時代ですね。

フランス・・・教育熱心、でも夜は大人の時間
日本・・・朝まで続けてねたことがない
ドイツ・・・一昔前までは、3K、協会、台所、子供が女の生きる場という女性観があった。
オランダ・・・自宅出産は当たり前



竜馬がゆく(二)

司馬遼太郎

黒船来港以来、猛然とわき上がる勤王・攘夷勢力。
土佐でも、先進の薩長に遅れまいと、クーデターを起こし、藩ぐるみの勤王化を行い、天下へ押し出そうとする武市半平太のやり方に、限界を感じた坂本竜馬は、さらに大きな飛躍を求め、脱藩を決意。

中岡
「武市先生は違います。剣を天下のことに活かそうとなさっています。だからこそ、敬慕しています。が、先生のお隣にいらっしゃる方は単なる剣客で、せっかく腰間に剣を帯びながら今天下がどうなっているか、われわれ若い者は何に向かって命を捧ぐべきか、お考えになっているような御様子はない。」

お田鶴さま
「またお説教ですか。お田鶴さまは、京でご高承なさるからいよいよお説教に磨きがかかって参りましたな。」
「まぁ、そうかしら。そのようでは、あの・・・困るのです。」
「婦人が説教上手でも構わぬ事じゃ。知恩院の尼どのは、みなそのようなことをしているそうじゃ。」
「竜馬どのは、やはりばかでございますね。尼様と同じだといわれて喜ぶおなごはありませぬ。」

乙女に脱藩前の挨拶
「私が竜馬でも、脱藩します。男でないのが、悔しいくらいです。太平の世なら別。こんな時勢に女に生まれてきたことは、悔しくて仕方がありません。」


2008年7月7日月曜日

オーデュポンの祈り

伊坂幸太郎

外界と完全に遮断されている島でのお話。

いろいろちりばめられていた伏線が、「そういうことだったのか」とつながっていく過程は心地がいいです。
また物語の舞台が完全に現実離れしてる世界で成り立っているので、その伏線のちりばめ方がシュールかつ独特で面白い。

物語に出てくる大きな謎の一つ、「島の外から持ちこまれるもの」だけが、ちょっと・・・。
まぁ、それも超現実の一部と思えば納得?

コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。
外界と遮断されている萩島には、妙な人間ばかりがすんでおり、妙な風習があった。
嘘しか言わない画家里山、殺人を許された男桜、未来が見える案山子優午。
未来を見通せるはずの案山子がバラバラにされ、頭を持ち去られて。
なぜ、自分の死を阻止できなかったのか?


名探偵?小説の中で事件が起きるんだ。人が殺されたりして。で、その名探偵が最後に事件を解決する。犯人は誰それだ!と指摘するんだ。
ただ、彼は犯罪そのものが起きるのを防ぐことはできない。
「優午とにているな。」
「僕もそう思ったんだ。」
犯罪を止めることはできない。でも、真相は指摘できる。自分はいったい誰を救うのだろうか、と頭をかきむしる。
「優午は重荷だったんだな」
「そのうち、「自分がいるから事件は起きるのではないか」きっとそう思うはずだ。」


2008年7月6日日曜日

女ひとり玉砕の島を行く

笹幸恵

筆者が,ソロモン諸島やニューギニアの島々にある戦没者の眠る慰霊碑を訪ねていく話.
遺族の思いや遺骨をめぐるエピソードなど,簡単には想像できない筆者の経験が語られている.

はじめに・・・だけでも読んで欲しい.すごく熱い.
それに,最後に筆者の慰霊碑保全に対する熱い問題提起が印象的だった.

30年後の命日に,偶然30歳で無くなった本人の遺骨を発見する.
オムツの下り.女性はトイレに困る.
「横浜」に変更(市外局番045),大きいほうは戸塚?→故郷だからやめて~

灼熱の地にある慰霊碑で,遺族がなけなしの水を戦没者の為に与えるシーンや,全国ソロモン会の嘆きに
対する筆者の対応と考え方.

他国の慰霊碑保全に対する考えと対比させ,筆者の問題提起.


葉桜の季節に君を想うと言うこと

歌野晶午

久しぶりに読んだ本格推理.

最後のどんでん返しにはやられました.
「えぇ〜〜!」,って最初に戻って読み返したくなります.
小説ならではの先入観・没入観というのは恐ろしい.

ですけどここまでやられると,おちょくられてるような感じで,後味悪いのも確か・・・.

小説ならではのトリック・・・・・といったらそれまでですが,ちょっとタブーではないかと感じた.
トリックに双子を使うとかっていう典型的なタブーのようなもの.

あと,最後にやっとタイトルの意味に気付かされます.
その件は非常に良かった.

「人生の黄金時代は老いていく将来にあり、過ぎ去った若年無知の時代にあるにあらず」林語堂

十分に楽しめる小説だと思います.

2008年7月4日金曜日

アヒルと鴨のコインロッカー

伊坂幸太郎

引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに彼は、いきなり「一緒に本屋を襲わないか?」と持ちかけてきた。

鳥葬、アヒルと鴨は外国から来たかそうでないかの違い、神様を閉じこめる、カットバック形式、裏口から逃げられるのは嫌、

「ブータン人はハエも殺さないんだぜ。生まれ変わりを信じてるから、そのハエが自分のおじいちゃんじゃないか、おばあちゃんじゃないかって思って、殺さないんだ。」

「チベット仏教というのはそういうものなんだ。だからブータン人はあんなにおおらかで、穏やかで、優しいんだ。日本人は、報いをすぐにほしがるだろ?ブータン人はそうじゃない。」

「やっぱり、河崎君が心配だ。得意分野での失敗はショックが大きい。」

動物園の雰囲気は、時代に流されずに活動をつづける、ロックンローラーに似ている。地味で、余計なものが何もない。恬淡としたテーマパークだ。

善いことをすれば、報われる。河崎が言う宗教の教えは、僕には理解できなかったが、もしそうだったらいい、とは感じた。


2008年7月3日木曜日

イタリア的考え方ー日本人のためのイタリア入門ー

ファビオ・ランベッリ

「どうしてイタリアでは店が閉まっていることが多いのか」「ストライキが多いのか」
イタリアへ行った日本人は、一度はこのような疑問を抱いたことがあるでしょう。
一見容易なこの問題を解くためには、より現実を掘り下げなければなりません。
イタリア人にとって仕事とは何か、自由時間とは何か、そして個人の自由とは何か、・・・

これは冗談でだが、日本でイタリア人は「助平でケチでインチキ」だと言われることがある。
地域伝統の差異の結果、イタリアの「中心の不在」はいっそうはっきりとしてくる。全国的に共通している文化はほとんど無い。今でもイタリア人は自分自身について考えるとき、「イタリア」人というよりも「○○市」人あるいは「○○州」人としてのアイデンティティーを定義するのが普通である。

異文化理解で大切なのは、常識や文化のアイデンティティを作るイデオロギーの働き方の違いをよく理解することである。

イタリアの人々は、他人からどういう風に見られているのかと言うことを認識するだけでなく、相手の気持ちを感じ取ることも素早くて鋭い。
イタリア人は、自分のユニークさに他人が関心を払うように行動するわけである。


Kitchen

banana yoshimoto

"Why is it that everything I eat when I'm with you is so delicious?"
"It must be because we're family."

キッチン/吉本ばななの洋書。

昔、日本語の方は読んだことあるけど、洋書を見つけたときに、英語で読み直すのも面白いかも・・・と思い、読みました。

祖母を亡くして、ひとりぼっちになったみかげと、祖母と仲の良かった雄一とその母親エリコ(実は父)の3人で暮らす話。

英語で、昔読んだ本の内容を思い出す感覚は、なんとも新鮮でした。

でも、また日本語で読み直したい・・・

2008年7月2日水曜日

ミューズ

赤坂真理

親に内緒でモデルの仕事をする高校生美緒は、高級住宅地・成城の矯正歯科医に恋を仕掛け、密会を重ねる。
だが、彼女には、宗教には母の施す儀式に失敗した過去があった・・・
咲かれた記憶と心の傷、エロス、粘着する匂いと触感を独特の文体で描く。

嗅覚・触覚に訴える小説。

2008年7月1日火曜日

突破するアイデア力

三谷宏治

学びと突破の本

日常のあらゆる場面でそういう突破力のある発想が生まれる機会はたくさんある
読書・旅・海外・異文化交流
フレッシュな新人が2,3年すると煤けてくる.
3年目で感じる閉塞感と伸び悩み感.
「俺って最近つまらない,考え方や話していることがいつも同じ」

筆者が何からどういったことを学んできたのかが書かれている

「本」
  • SFは思考の枠組みを拡げる
    • あなたはある日,相手を「食べる」ことが挨拶である宇宙人とあった.それを断ると宇宙戦争で地球は滅びる.さてどうする?(星新一)
    • 「人はこれを悲しむべきではない.次世代の知生体を生み出せたことを誇るべきだ」(地球幼年期の終わり)
    • 人間の非合理性の価値について考える(神林長平)
    • 「人は幸せになれるのか?」(上弦の月を食べる獅子)
    • 「生命の本質は絶滅にあり.コイントスの賭けと同じ.手持ちの金が多いオヤが勝つ(大絶滅)
    • いまに縛られてはいけない.(スノーボールアース)
  • 歴史が教える「ことをなす力」
    • リーダーとはどうあるべきか(宮城谷昌光,中国の英雄たちを描く)
    • 苦言に耳を傾けられる「器」(華栄の丘)
    • ビジョンの力(竜馬がゆく)
    • 自分を信じ,自分を強くする(樅の木は残った)
    • 様々な視点を持つ,通説に惑わされない(梅原猛)
    • 全てのものには意味がある「全ての寺は,ある意味を持ってそこに存在している.そして,その意味を与えたのは,それを造った人間の意志である.」
  • 心に触れる本質をマンガに学ぶ
    • 良い目を持つ(MASTERキートン)
    • 理屈ではなく,感じる(バガボンド)
    • 善意は深く,美しい(美しきアジア)
    • 良い目をもち,理想のリスク,自ら率先して動き善意の力を知る.
    • 30分ほど早めに行って,ロビーや受付をうろうろとすると色々なことが見えてきて,企業の本質に繋がる
    • あなたは幸せと言い切れるか?人生の意味は,誰に自分のことを分かって欲しいか?(湾岸MIDNIGHT)
    • 心に暇のある生物,人間(寄生獣)
    • 小さな純粋さが心の壁を破る(佐々木倫子)
    • ほのぼののようなナンセンス系は精神汚染に弱い.これを心のチェックリストとする.
    • 余裕なくして,良い発想なし
      • 意識的に読んで気分を切り替えリラックスすること
      • 読んだときに自分の反応を確かめて自分の精神的切迫度合いを把握すること
「旅」
  • ヒッチハイク
    • ヒッチハイクが生み出す縁と度胸と鑑識眼
    • 子連れ女性は全く無駄.男はトラックの兄ちゃん.拉致されるがごとく,さらに夕食までおごってくれる.
    • ネクタイは冷たい,ホワイトカラーは心に余裕がない.こうなってはいけない.
      • きっと彼らは,とても親切にされた経験が無かったのだ.親切にされて嬉しかった経験が無いのだ.
    • 村は冷たい.
    • でも,人は見かけによらない.サーフボードを乗せた茶髪の兄ちゃん.無言で停車.
    • 運転中も終始無言.そんな中,突然ハンドルを切り,幹線道路をはずれ木々の生い茂る道へ
    • 内心ビビリまくる筆者をよそに,車はがけの上へ.そして,「ここが俺が一番好きな場所だ」
  • 日本旅行
    • 薬師寺(奈良)に宿る人の意思
    • 出雲大社(島根)
    • 宮大工西岡棟梁「親方に授けられるべからず.一意専心親方を乗り越す工夫を切磋琢磨すべし.これ匠道文化の心髄なり」
    • 三十三間堂(京都)
    • 教えずして導くのヒント「いつプレッシャーを与えるか見極める」
    • 瑠璃光寺 五重塔(山口)
    • 美の鑑賞は修行である.ただ見続けよ.
    • 東大寺(奈良)
  • 世界旅行
    • 人生幅の拡大
    • ヨーロッパの企業は日本と同じく,歴史があり,労働組合が強く,終身雇用で,市場が飽和していて,組織が硬直
    • 4ヶ月でフランス語マスター(特訓コース)
    • ステレオタイプな見方をする人間ではないが,「お国によっての違いは大きい」と思い知る
    • 独:きっちり,伊:遅刻して独創的,英:清書・自虐と諧謔(200年も下降している国),仏:誇り高い
    • アメリカ人英語はイギリスにとって無礼に聞こえる
    • 子供の名前の話で,英語っぽい名前がはやってるのは残念だといわれる.日本語らしい名前を
    • グローバルプロジェクト:世界規模で同じやり方を徹底する.インターナショナルプロジェクト:進出した国々の状況に合わせて最適なやり方を探り出す
    • インターナショナルとは,異なる者同士の「尊敬」に立脚する
    • 日本に足りないものが見えてくる
      • 時間と住宅:絶対的自由時間が少ない.費用と満足度の面で住宅に難あり
      • 自分を身近な組織にとって,indispensableだと信じていたい.
      • コンサルタントなんて,replacable, dispensableだからね!といって休む
    • Hasta la vista, baby(スペイン語で悪ぶって[じゃあまたな]という意味)のスペイン語訳はSAYONARA, Baby.
      • スペインのイメージ.
「家」
  • 家造り
  • 家族
「仕事」
  • 失敗
    • 初めてのやわらかいテーマのコンサルティング(夢のある研究開発)
    • 暗中模索,コトラー・ポーターの本に立ち戻り,周りと議論し,現場に足を運び,結婚式の打ち合わせにも一度も出席せず
    • 「ちょっとずつやる」はとても大事な作業方法
      • 今やったことを,否定することは難しく独りよがりになる.昨日なら・・・
      • 海馬にかける.7時間以上寝ることによって,「短期記憶の整理」と「レミネセンスによる再構成」
    • 教科書に戻る,ちょこちょこやる,ちゃんと寝て海馬に賭ける
  • 自分を科学する
    • お前の強みが見えなかったな
    • 自分の強みに初めて気づく
      • 第三者に聞く,第三者になる,行動思考方法をコンセプト化する
  • 収集力から編集力,そして・・・オリジナリティへ
    • IT社会の強み
    • 独自の考え方ができる「思索力」「発想力」であり,オリジナリティが強みとなる.