2012年3月25日日曜日

MBAの誓い/マックス・アンダーソン,ピーター・エッシャー [岩瀬大輔 監訳]


「経営者たる私の目的は、人々と資源を集め、ひとりでは作り出せない価値を生み出すことにより、
大きな善のために尽くすことにある。
それゆえ私は、自分の事業が社会のために長期に生み出せる価値を高める方法を探す。
社の内外、また現在と未来の人々の幸福に、自らの決断が広く影響を及ぼしうると理解する。
さまざまな関係者の利益を調和させるとき、私は困難な選択に直面するだろう……
「MBAの誓い」のはじまりであり、2009年はじめにマックス・アンダーソン、ピーター・エッシャーら
ハーバード・ビジネス・スクールの学生チームが作り出した。
金融危機やバーナード・マドフの巨額詐欺事件等により、MBAが中傷されるのを彼らは目にした。
MBAが多数を占めるビジネス・リーダーたちが、自分の利益しか顧みていないように思えたために、人々の怒りの矛先となった。
多くの人々が、ビジネス・スクールやMBAの学位の価値に疑いの目を向けるようになった。
この誓いはハーバードを超え瞬く間に広がり、最終損益だけでなく社会にも配慮する新世代のリーダーたちの世界的な運動になった。
医学生が医師になる前にヒポクラテスの誓いを立てるのと同様に、いまや数千名のMBAの卒業生が、正直と誠実に行動すると誓っている。
本書はMBAの誓いを扱っている。この誓いは、ビジネス・リーダーが危機に直面したとき、
それに対応するために構想された。 経済の巨大な地盤をきしませ続け、ビジネスにも私生活にも
不安定や分裂や断絶をもたらすこうした亀裂のたぐいを吟味するよう促すことが目的だ。本文より
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MBAの誓い

序言
経営者たる自分の目的は、人々と資源を集め、一人では作り出せない価値を生み出すことによって、より大きな全のために尽くす事にある。それゆえ私は、自分の事業が社会のために長期にわたって生み出せる価値を高められる道を探す。社の内外の、また現在と未来の人々の幸福に、自分の決断が広く影響を及ぼしうると理解する。様々な関係者の利益を調和させる時、私は困難な選択に直面するだろう。

それゆえ、私は以下を制約する。

私はなし得る限り誠実に行動し、倫理にかなった形で仕事を行う。自分自身の行動が誠実の模範となるようにし、公に指示した価値観にふさわしいものにする。
私は、株主、同僚、消費者、そして活動の場となる社会の利益を守る。自分の決断が人々の幸福を左右するのなら、たとえそれが有力な人々でなくても、彼らの利益を守る事に努める。

私は誠意を持って事業を経営し、自分の偏狭な野心を満足させても事業とそれが尽くす人々を害するような決定や行動は控える。私利の追求は資本主義経済に撮って不可欠の原動力だが、際限のない強欲は大きな害をもたらしかねない。私は腐敗、差別、搾取に反対する。

私は自分の行動と事業の運営を左右する法律と契約を、その字義に置いても精神に置いても、理解して守る。不公平な法律や時代遅れの法律や無用の法律があっても、それを平然と破ったり無視したり否定したりしない。改善のために良識ある妥当な手段を探す。


私は自らの行動に責任を持ち、事業の実績とリスクを正確かつ正直に伝える。自分の目的は真実をゆがめる事でなく、真実を説明する事であって、人々に影響が及ぶ決断を下すときは、その経緯を人々が理解しやすくする。

私は経営者達が成長を続け、社会の幸福に貢献し続けることができるように、自分自身と監督下にある経営者を啓発する。情報に基づく判断を助けてくれる同僚達に意見を求め、その分野の最新の知識に通じておくための投資を怠らず、つねに新しい発想を受け入れる。時代のリーダーのよき師となり、その教育に配慮する。

私は世界規模で経済と社会と環境の持続可能な反映を生み出すよう努める。持続可能な反映は、事業に要するあらゆる投入の機会費用よりも長期的には大きな産出をその事業がもたらすときに生み出される。

この近いに従って生きていく上で、私は他のMBAに対して説明責任を持つ。私はプロフェッショナルとしての自分の評判や名誉が職業全体に与えられる経緯や信頼に基づく事を認識し、この経緯と信頼を高めるために、経営のプロフェッショナルとしての基準を自ら体現し、守り、発展させる責任を負う。

私はこれらをみずから進んで、名誉にかけて誓う。

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個人のキャリアを成長させる鍵となるのは、最終目的地があるという謝った思い込みを持たず、過程を楽しむ事にある。

真に有望なリーダーは、経験から学び、ずっと学び続けようとする力を持った人物である

個人と組織がどれほど学習したかが、競争優位を保つ唯一の手段になるだろう。




日本企業が欲しがる「グローバル人材」の必須スキル/内永ゆか子


今、どこの企業でも求められるのは「グローバル人材」だ。「ドメスティック人材」からどのような転身を図れば、就職・転職マーケットで有利に戦うことができるのか? 日本IBM取締役をへてベルリッツ コーポレーションCEOに就任した著者による、これからの時代ためのスキル解説書。外国人とのコミュニケーションに必要な思考法から、会議・プレゼン・交渉の場面で役立つフレーズまでノウハウが満載。
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ハーバード流交渉術/ロジャー・フィッシャー、ウィリアム・アーリー、岩瀬大輔[訳]


交渉は「駆け引き」のうまい者が勝つそれは大きな間違いである。本当のプロフェッショナルは、時間と労力をもっと効果的に使う。どんな複雑な利害があっても「最高の解決法」を導く。相手の面子を立てながら、自分の要求を通す。「どう見ても不利」な状況も一発大逆転できる。理屈が通じない相手を180度変える「ひと言」。「交渉力」を身につけるハーバード史上最高の研究。

ハーバードの叡智を結集。
相手を満足させながら相手の一つ上を行く。たったそれだけでいい。
ー利益を最大限にする戦略
ー妥協せずともお互い満足する法
ー「言い方ひとつ」で相手の心理はこんなに違う!
この「最高のチャンス」を逃すな。
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交渉手法の善し悪しの判断。
1.合意が可能な場合にそれが優れた合意になるか、
2.プロセスが効率的であるか、
3.交渉後に関係が改善しているか

アプローチは、ソフトでもハードでもなく、駆け引き型から抜け出す事。

原則立脚型交渉。実体重視交渉。
人ー人と問題を切り離す
利益ー「条件や立場」ではなく「利益」に注目する
選択肢ーお互いの利益に配慮した複数の選択肢を考える
基準ー客観的基準に基づく解決にこだわる

間違っていたらおっしゃってください。
これまでのご厚情に感謝しています。
公正な形で解決したいだけです。
どちらがどんな手段をとれるかではなく、客観的な基準で解決したいのです。
事実確認のためにいくつか質問をしてよろしいでしょうか?
また改めてお話しできませんか?

100パーセント賛成してもらえる確証のない結論を受け入れてもらうには、その結論を引き出すプロセスに相手を関わらせることが重要。
(従業員に責任あるポストを与えても、事前に本人の意思を確かめてからで無いと反発される恐れがある。

アパルトヘイトを巡る問題を白人議員のみで構成される委員会でいくつかの提案を討議したが、どんなに立派な提案が出て来たとしても、受け入れられる可能性は低かった。

交渉は、「一緒に解決していくべき共通の問題」というコンセンサスができれば、利害の折り合いを付け、友好的に合意に到達できる可能性が高まる。

対立している「条件」の背後にある「利益」に視点を移すと、自分だけでなく相手側の利益にもなる案が見つかる事が多い。

オレンジを分ける子供
二人の子供がオレンジを半分に分けたが、一人は実を食べて皮を捨て、もう一人は実を捨てて皮を残し、ケーキを作った。

相手に損をさせるほど、こちらが得をすると思いがちだが、そのようなケースはまれだ。

ケーキ・カットルール
「相手が切って、自分が選ぶ」

会社の方針なら従わないと行けない立場はよくわかります。ただし、客観的根拠を示していただけないのなら裁判で決めてもらった方が良いかな。

「交渉が決裂した場合にとれるベストな行動」を把握しておく事が重要。