2011年1月30日日曜日

スイッチ/チップ・ハース (著), ダン・ハース (著), 千葉敏生 (翻訳)

問題:映画館でポップコーンを食べる量を減らすには?
答え:容器を小さくする。以上。

●顧客サービスをしない方針の会社が「熱狂的な顧客サポート」に目覚めたのはなぜか?
●これまで住民が気にもとめなかった絶滅危惧種を「国のシンボル」にした方法とは?
●ベトナム戦争時に麻薬依存症だった兵士たちが、帰国後ほとんど更生して社会復帰できたのはなぜか?

会社や人生に持続する変化を起こすのが難しい。その原因はわたしたちの脳の中にある。「象使い(理性)」と「象(感情)」の支配権争いだ。象使いがスリムな体形を欲していても、象はがケーキに飛びついてしまう。頭のいい象使いが変化を求めても、象はいまの手順が大好きなのだ。だが、象と象使いの性格を研究していくうちに、ちょっと工夫するだけで、変化は驚くほど簡単なものになることがわかる。 本書では、大きな権限や強固な意志の持ち主ではない「ごく普通の人たち」が、会社や国を動かすような変化を生み出した例を豊富に挙げながら、それらに共通する「変化のしくみ」を明かしていく。
発売直後にニューヨーク・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルのベストセラー・リストで第1位を獲得。アメリカのビジネス界で大人気のハース兄弟による目からウロコの最新作。
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人間の問題に見えても、環境の問題である事が多い。
相手の行動を変えるためには、その人の環境を変えなければならない。
麻薬依存、ポップコーンの箱の大きさ

象使いに方向を教える。
抵抗しているように見えても戸惑っている事も多い。セルフコントロールは消耗品である。とびきり明確な指示を。
ブライトスポットを見つける・・・問題がなくなってると思う最初の小さなサインは何ですか?少しでも問題を解決できていたときはどんなときですか?
ベトナムの栄養失調にならない親の食事の与え方。
大事な一本の台本を書く・・・変革活動に成功したグループは、行動目標を設定したことだ。全てのグループは目標を設定したが、行動に伴うものは上位のグループのみ。
肥満防止に、低脂肪牛乳を飲もう。

象にやる気を与える。
象使いが、力付くで象を動かせるのは少しだけ。したがって、相手の感情に訴える事が重要。
目的地を指し示す・・白黒はっきりする目的地の絵葉書を与える。(空井戸を掘らない。)
SMARTな目標は、感情を前提にするもので、感情を生み出すものではない。
感情に訴えかける・・・問題の核心は行動を変えることにある。そして、行動を変える上で何より効果的なのは、感情に訴えることである。じかにユーザを観察した開発者は、即座に20ほどのアイデアが浮かぶ。異なる業者から工場ここに仕入れた手袋の山。
変化を細かくする・・・5分間お部屋レスキュー。雪達磨式返済法。
人を育てる・・・「発明家」というアイデンティティを与えられた従業員。目標の失敗ではなく、道中の失敗を予測し、覚悟すること。できない生徒はいなく、ただまだできないだけ。

道筋を定める。
人間の問題に見えても、状況や環境の問題の場合が多い。
環境を変える・・・不真面目な生徒に授業に出席するよう、一番前にソファーの特等席を作った。メールソフトのアラーとを封じる。
習慣を生み出す・・・私達の習慣は環境の中に組み込まれている。部屋の模様替えで、従業員と話しやすくする。休暇先のほうが禁煙する喫煙者。自分がしなければならないと思っていることには、アクショントリガーが役に立つ。意思決定の事前装填。シンプルなチェックリストでポカヨケ。
仲間を集める・・・改革派でフリースペースの話し合いの場所を設けた、病院。
変化を継続する・・・罰を使わずに、接近方を使う。全部やったらほめるではなく、少しでもやったらほめる。

上司は思いつきでものを言う/橋本治

この本はサラリーマン社会の閉塞を嘆じるものではありません。「上司は思いつきでものを言う」ということが、なぜ起こってきたのかを儒教の伝来まで遡り、とてもスリリングに解剖していく本です。日本の男達が、なぜ戦国時代と幕末維新の時代ものが好きなのか。こんな「なぜ」も見えてきます。そして、では日本はどうするのか。「現場」の声を聞く能力の復活に向けて、上司の皆さんにも、上司でない皆さんにも、親切丁寧な道中案内の書であります。
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会社でアイデアを出せと言われます。そこであなたは良く考えるをします。思考の幅は狭まり、思考の集中力だけ高まります。でも、それだけです。

「今まであんた達が無能だったから、会社はここまで傾いた。だから俺が、あんた達にどうすればいいか教えてやる。」あなたの提案は、上司達の耳にはそう聞こえるのです。

「あなたの建設的な提言は、上司の思い付きを招く」

故郷が懐かしい上司は、青年団の一員で、リーダーやサブリーダーをやっているように錯覚してしまう。
上司は故郷に帰れない。

まず、思い付きをいう上司にあきれ、現実離れしている矛盾を判断できるだけの知性を持たなければならない。
相手に認めさせる。

2011年1月12日水曜日

夜明けの街で/東野圭吾

渡部の働く会社に、派遣社員の仲西秋葉がやって来たのは、去年のお盆休み明けだった。僕の目には若く見えたが、彼女は31歳だった。その後、僕らの距離は急速に縮まり、ついに越えてはならない境界線を越えてしまう。しかし、秋葉の家庭は複雑な事情を抱えていた。両親は離婚し、母親は自殺。彼女の横浜の実家では、15年前、父の愛人が殺されるという事件まで起こっていた。殺人現場に倒れていた秋葉は真犯人の容疑をかけられながらも、沈黙を貫いてきた。犯罪者かもしれない女性と不倫の恋に堕ちた渡部の心境は揺れ動く。果たして秋葉は罪を犯したのか。まもなく、事件は時効を迎えようとしていた・・・。
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こんな話を生き生きと語ると、秋葉はこう尋ねてくる。
「今はそういうこと、しないんですか」

「いいことを教えてやる。赤い糸なんてのは、二人で紡いでいくものなんだ。別れずにどちらかの死を看取った場合のみ、それは完成する。赤い糸で結ばれてたってことになる。」

「あたしに夢を見させた。決して見てはいけないと自分に禁じてた夢だったのに。わかる?夢を見る前より、それが覚めたときのほうが心は寒くなるんだよ。」

「あなたの家庭のこと。それはあなたが何とかして。あたしはあなたを自分のものだと思うことにしたから。」