2010年12月23日木曜日

時生/東野圭吾

不治の病を患う息子に最後のときが訪れつつあるとき、宮本拓実は妻に、20年以上前に出会った少年との思い出を語り始める。どうしようもない若者だった拓実は、「トキオ」と名乗る少年と共に、謎を残して消えた恋人・千鶴の行方を追った。過去、現在、未来が工作するベストセラー作家の集大成作品。
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父親を傷害致死で殺し、刑務所に入った母親をなぜ許したのか?の問いへの竹美の答え。

「許すも許さへんもないわ。親子であることからは逃げられへんのやから。相手が申し訳ないと思ってくれてるのが分かったら、もうそれ以上は余計なこと考えんでもええのんと違う?」

「色々会ったけど、あんたのせいじゃねえよ。俺の人生だから、俺が落とし前をつけなきゃならねえ。もうあんたのせいにはしない。それが言いたかった。ええと、それからもう一つ。俺を産んでくれた事、感謝するよ。ありがとうな。」

「頑張っていき続けてください。きっと素晴らしい人生が待っているからって。」

主人公の拓実の喧嘩っ早い性格とかも含めて、バック・トゥ・ザ・フューチャっぽかったけど、面白かったな。

千鶴や時生、大阪の竹美や彼氏のジェシーも良いキャラしてます。
終わり方は、「秘密」並に綺麗なものでした。それしかないでしょ!っていう。

赤い指の次に読んだので、正反対な家族というものの物語を見た。


2010年12月18日土曜日

赤い指/東野圭吾

少女の遺体が住宅街で発見された。
捜査上に浮かんだ平凡な家族。
一体どんな悪夢が彼等を狂わせたのか。
「この家には、隠されている真実がある。
それはこの家の中で、彼等自身の手によって明かされなければならない」。
刑事・加賀恭一郎の謎めいた言葉の意味は?
家族のあり方を問う直木賞受賞後第一作。
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・家族の面倒事から逃げていた主人公
・いじめで心を閉ざしている息子
・息子に対して過保護で、亭主方の家族と馴染まない妻
・認知症の父を介護し続け、父親の死後認知症にかかった母
・母親の看病を続ける妹

読んだ人なら、こういう家族にはなりたくないと思うでしょうが、そう思うのは簡単で、実際どうすれば良いのか。
色々、考えさせられます。

2010年12月13日月曜日

キャズム/ジェフリー・ムーア

ハイテクをブレイクさせる「超」マーケティング理論
イノベータ、アーリー・アドプター、アーリー・マジョリティ、レイト・マジョリティ、ラガード

イノベータは新しい技術に関する製品を追い求める人たち。
アーリー・アドプターが購入しようとするのは、変革のための手段。
アーリー・マジョリティは、最新の発明と言われるものの多くが一過性の流行で終わることを十分認識しており、自分達が新製品を購入する前に、まず他者の動向をうかがおうとする。
レイト・マジョリティは、業界標準が確立されるのをひたすら待ち続け、手厚いサポートを受けるために、実績のある大企業から製品を購入したがる。
ラガードは、新しいハイテク製品には見向きもしない。

アーリー・アドプターとアーリー・マジョリティの狭間をキャズムと呼ぶ。

変革のための手段と生産性を改善する手段の違い。
アーリー・マジョリティへ市場を拡大する際には、「先行事例と手厚いサポートを必要とする顧客を、有効な先行事例と強力なサポートなしで攻略しようとしている」という事実を肝に銘じなければならない。

ビジョナリが求めているのはブレークスルー、実利主義者が求めているのは改善。

ビジョナリはプロジェクト指向であり、普遍性のある製品を作りたいベンダーにとっては不都合。
ビジョナリと一緒に仕事をして、双方が満足できる結果に持っていくことはほとんど不可能に近く、ビジョナリの期待を管理することに全精力を注ぐ。

まずニッチ市場から責めるというアプローチを取らないでキャズムを超えようとするのは、焚き付けを使わないで火をつけるようなものだ。
売り上げが期待できないような分野に手間隙を書けるつもりはない、と言うのではだめ。

キャズムの時期に、販売重視の戦略を立てるのは致命的である。
キャズムを超えようとするときには、顧客の数でターゲット・マーケットを決めるのではなく、顧客が感じている痛みの大きさで決める。
              支持派
               ↑
製品・ビジョナリ       |  企業・保守派
               |
スペシャリスト <=============================> ジェネラリスト
               |
テクノロジー・マニア     |  市場・実利主義者
               ↓

ニッチ市場を決定するとき、まず、その妥当性を裏付けてくれる競争相手を探す。

これは、「①」で問題を抱えている
「②」向けの、
「③」の製品であり、
「④」することができる。
そして、「⑤」とは違って、
この製品には、「⑥」が備わっている。


BtoBのマーケティングもなかなか面白いと思った。