2009年5月19日火曜日

会社に人生を預けるな/勝間和代

日本人は、リスクを取ると言う訓練を金融以外でほとんどしていないのに、金融だけでリスクをとれといっても、それがどういうことか分からないのだ。

親から
「危ないことをするのはやめなさい」
「自分でそう思うなら、失敗しても良いから自分の思うとおりにやってみなさい」といわれて育つかでは大きな違いが生まれるでしょう。

整理解雇の四要件
1.人員削減の必要性があること。
2.解雇回避の努力を行っていること。
3.整理基準と人選に合理性があること。
4.解雇手続きに妥当性があること。


・会社に人生を預けるな
これまで、日本では会社は単なる働き場にとどまらず、所属する社会であり、福利厚生であり、自分たちの階級や生涯賃金を決めてしまうところでした。小作農・奴隷制に近い。
南北戦争は、奴隷が人権上の問題のある制度だから内戦が起こったというものではなく、雇用主福利厚生を含めた扶養義務を受ける従業員といった視点で見ると、奴隷を抱えているコストを負担しきれなくなったというのが現実。
終身雇用が有効なのは、次のような前提が必要。
1.勤めている会社の業績が成長を続けること。
2.今の会社で十分な能力開発ができること。
3.会社は従業員に対して十分に報いてくれること。
幸福度の推移。
外資系はなぜ給料が高いかというと、日本と違って雇用に流動性があるから。
経済はネズミ講である。
「全ての経済は、バブルに通じる/小幡」

・リスク・リテラシーを磨く
80%で生活する。
リスクマネジメントとは、過度の変動を抑えることでもあるのです。
仕事だけに限らず、自分の子供の成長だけが生きがいとか、夫の出世だけが生きがいとか、自分のシュミだけが生きがいとなると、もしそのバランスが崩れたとき、にっちもさっちも行かなくなります。
それよりも、自分にはこの仕事もある、社会貢献もしている、家族に対する貢献もある、自分のシュミもあるといった形でバランスよく管理していると、もし何かの原因で一箇所にリスクが生じた場合でも管理がしやすくなります。
金融の運用は余裕資金で行う必要がある。
食品の表示を見て、リスク管理。摂取するときに生まれるリスクを理解しておく。

リスク管理とは、日常的な行動範囲に入ってくる物事に対して、管理する対象物の損失幅をコントロールすること。
そして、リスクは決してゼロにならない。

リスク分散の習慣化。


・「お上」に人生を預けるな

日本のヒーロー像。
水戸黄門、銭形平次、ウルトラマン、仮面ライダー、○○船隊・・
圧倒的に「お上」で占められている。

アメリカのヒーロー像。
スーパーマン、スパイダーマン、スタートレック・・・・
市民によって多く占められている。

すなわち日本において、私たちを守ってくれるヒーローというのは、政治家であり、官僚であり、、警察であるということが心象風景としてあることが分かります。
逆に言えば、私たちが私たち市民の手でリスクを管理するという発想があまり無かったということを示しています。

日本の仕組みでは、弁護士にしろ、官僚にしろ、政治家にしろ、リスクを果敢にとる人ではなく、与えられた問題を粛々とこなしていくタイプの人たちがどんどん支配層の地位に上り、日本を支配しているという構造が読み取れます。
「お上」リスクを取り、リスクを上手に管理する人たちではないのです。

所得の再配分や格差の是正において、決して民主的ではありません。

自己責任論ではなく、「お上」にだけ頼るのはやめよう。
お肉屋さんで買うのではなく、パッケージングされたお肉を買うようになり、リスク感覚が鈍るのは当たり前。

アメリカの場合、仏教で言うところの因果応報や、他人に対してなぜ貢献しなければならないのかとか、彼らはモラル教育を、教会を中心とした教育と学校教育、家庭教育で徹底的に受けて育ちます。

これはリスクマネジメントという観点から見た場合、非常に優れたシステムです。

・21世紀のパラダイムシフト
「なるべく、化粧品など余計な手入れはしないこと。それより、正しい食生活、睡眠、運動を心がけること。」です。
エステに行くということも、自分の皮膚管理の責任を相手に預けてしまうという行為になります。

本来のリスク教育とは、家庭内教育の分野になります。やはり、普段の親の言動や、親がどのようにそのリスクをマネージしているのか、あるいはリスクとリターンの関係をどのように教えるのか、ということの蓄積になるのです。
肝は、「将来に対する想像力」

よりよく生きるために何が大事かというと、やはり自分が自分の力でリスクをコントロールできることを理解することだと思います。

0.2%の日々の改善が、一年間で二倍の効果を生む。
いきなり転職のような大きなリスクをとる必要はありません。身近なちょっとしたリスク、たとえば日常の通勤炉を変えてみたり、いつもとは違うランチを頼んでみたり、いつもより少し冒険度の高い服を選んだりすることでいいのです。



2009年5月10日日曜日

イタリア人の働き方ー国民全員が社長の国ー/内田洋子 シルヴィオ・ピエールサンティ

この本では、15人のイタリア人経営者の紹介をしている。
確かに素晴らしい経営者たちだが、それよりもイタリアという国について、新たな側面を知れたのが、私にとっては大きい。

  人口5700万人の国で、法人登録が2000万社。国民全員が社長の国・イタリアの底力。
  現在、イタリアでは、新生児より新企業の数のほうが多い状態である。

まず、始めにこれを見て驚いた。2000万社・・・単純に計算すると、約3人に1人が社長。
個人的に調べてみると、日本の法人登録は、300万社弱だそうだ。

この数は世界でも例を見ないほど、圧倒的な数らしい。
イタリアは、中小の零細企業が支えているという国なんだ。


生きることは、楽しいことでなければならない。人生を満喫したい。そういった享楽優先が、ときには怠惰に見える場面を生むのかもしれない。しかし<自分の持つ価値観を優先する>ということと<怠惰>は、やや異なる。
人生を楽しむために、お金は必要不可欠である。お金は、ふつうは働いて手に入れる。よって、イタリア人は働くのである。それはもう、懸命に働く。人生を楽しむために。

「イタリア人は、規則を守らない」これも確かにあたっている。イタリア人には、無政府主義的な血が流れている。ローマ帝国が崩壊して以来1500年余り、イタリア半島を支配してきたのは、統治能力のない、頼りにできない統治者や政府ばかりだった。
そうした長い歴史の中で、上にたつものは当てにできない、自分たちで頑張るしかない、という思いがイタリア人の意識に強く刻み込まれたのである。

人を驚かせることが好きなイタリア人は、感動を生むために、観客席に座って鑑賞するより、たとえ失敗の危険を犯してでも舞台の上に立つほうを選ぶ。

「事業を起こした理由は、自分だけの独創的な企画を実現したかったから。会社の活動を通して自分が生活する地域社会の環境をより高めたい」

・イタリア一の靴磨き
俳優のロベルトベニーニは、「短期間にこれだけの成功を収めることができたのは、ロザリーナは、ただ靴を磨くだけではなくて、客の気持ちまでピカピカに、まるで新品同様に美しく磨き上げてくれるから」と絶賛する。
「靴磨き名人探しはやめて、私が名人になることにするわ。」
一足を続けてはかないこと。履かない靴は、木型を入れて休ませる。
靴には足からの熱や、湿り気が移ります。これを木型はきちんと吸収して、皮革を元の状態に戻すのです。
臆面も無く申し上げますが、自分が女性に生まれて、そしてそこそこの外見に恵まれているのを、私は最大限に利用します。女性だからこそ母のように妻のように、客の心に静かに入って、聞き役になって上げられるのだと思います。
・ヴェネツィア一の水上タクシー運転手
どんなお客でも、料金はもちろん常に一律です。私は仕事を始めてこのかた半世紀、常に澄み切って綺麗な仕事をする姿勢を貫いてきたことに誇りを持っています。
・パーソナル・ショッパー
次々と買い物を重ねるという行動は、自分に対する深い愛情があり、他人にも愛情を与えたいという気持ちの表れでもあります。注意しなければならないのは、贈り物を買うことで愛情を得ようとしてはならないこと。贈り物をもらったらすぐに返礼しなければならないというような押し付けになってはならないのです。
相手に負担を感じさせないためには、高額で大げさな贈り物をしてはならない。贈り物の進化は価格に関係なく、根底にある愛情、気持ちであることを忘れてはなりません。
・イタリアの鉄打ち名人
手がさかさまにつ自分の店を開こうと決意する。けられて運ばれてきた彫像を見て、父と私は大慌てで責任者だった建築羽化に連絡しましたが、彼は逃げたのです。私たちは思案した挙句、鉄を打ってぶどうのつたを作り、豹皮のマントの上から手にかけて蔦が柔らかく垂れ下がり、手先を包み込んでいるように見せたのでした。
・絵画修復の魔術師
私がついていたのは、貧乏な家に生まれたということ。
・自転車界のフェラーリ
療養中にコルナーゴはプロのサイクリストとしての将来は断念し、その代わりに
有望な選手に、「貸しておくから」といって、素晴らしい自転車を贈る。
その後、レースで優勝するようになってからも、一切お金を受け取ろうとはしませんでした。
・年間生産量1500本の幻のハム
必要以上に高い価格はつけません。私がハム作りにかける手間隙に対する評価分と、上質の原材料代が組み込めればそれでいい。
・世界最高のラガー・ビールメーカ
現在、目なぶれあのブランドの所有者は、イタリアのメーカー<フォルスト・ディ・メラノ>になっていますが、けっして会社や製品の現状を変えない、というのが売却の条件でした。
・フィアット社の切り札の女性エンジニア
あらゆる物の仕組みを知るのが好きでした人形を買ってもらっても、その顔つきよりも、寝かせると目を閉じる仕組みのほうが気になるような子供だったのです。
・世界一美しいカシミア製品メーカー
会社の経営の第一目的を、人間としての尊厳を保つこととしているのである。
ただ利益を出すことだけが目的でない。私はk、自分が作る商品を通して夢を広めたいのです。
普通の経営者なら、利益が出たらすぐに別荘を建てたりするだろう。ところが、事業利益は社員の住居や労働空間の環境を向上させるために還元する。
・家業を売り払い、ゼロからスタートした玩具メーカ
ジオマグ。ジオマグやスーパーマグは、子供の創造性を高めて、工作能力の向上を助けるのに非常に有効と絶賛している。
<あなたたちはみんな、ヤギ同然の頭しかない。島民がそんなあなたたちに従っていれば、サルデーニャは永遠にヤギの島から抜け出すことは無いだろう>
玩具購買量は、アメリカ一国だけで、世界の残りの国全部をあわせた量に上ります。
・板金プレス業界のリーダー
夫は仕事場で事故にあい、怪我をして入院することに成りました。なのに会社の経営者は、入院中に夫を見舞いにすら来なかったのです。
社長の経営方法は、人材の少数精鋭主義にある。必要最低限の人数にスタッフを絞り込み、幹部とも工員とも家族同様のごく密接した濃い関係を築きあげる。
子供たちは、賢明で向上心にあふれています。大学に進んでも、しっかりと勉強していい成績を収めたに違いありませんでした。それを私は、自分のおろかな恐怖心のために妨げてしまった。人生をもう一度やり直せるのなら、何はさておき、子供たちを大学に進学させてやりたいですね。
・世界一のシェアを誇るスポーツ用ネットメーカ
私たちの船作りの哲学は、美しさと伝統、文化の究極を作ること。こうした船を生み出すためには、20年の修行が必要だと思います。
・悪魔祓いの第一人者
エクソシストの製作の際、コンサルタントとして現場へ呼ばれました。映画に登場するシーンなど、実際に見てきた恐ろしい光景とは比較になりません。
カネは、悪魔の大使です。悪魔祓いをするために金を要求するようなものは、まさに悪魔の代理人です。
・世界一のパパラッツィ