2008年7月7日月曜日

オーデュポンの祈り

伊坂幸太郎

外界と完全に遮断されている島でのお話。

いろいろちりばめられていた伏線が、「そういうことだったのか」とつながっていく過程は心地がいいです。
また物語の舞台が完全に現実離れしてる世界で成り立っているので、その伏線のちりばめ方がシュールかつ独特で面白い。

物語に出てくる大きな謎の一つ、「島の外から持ちこまれるもの」だけが、ちょっと・・・。
まぁ、それも超現実の一部と思えば納得?

コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。
外界と遮断されている萩島には、妙な人間ばかりがすんでおり、妙な風習があった。
嘘しか言わない画家里山、殺人を許された男桜、未来が見える案山子優午。
未来を見通せるはずの案山子がバラバラにされ、頭を持ち去られて。
なぜ、自分の死を阻止できなかったのか?


名探偵?小説の中で事件が起きるんだ。人が殺されたりして。で、その名探偵が最後に事件を解決する。犯人は誰それだ!と指摘するんだ。
ただ、彼は犯罪そのものが起きるのを防ぐことはできない。
「優午とにているな。」
「僕もそう思ったんだ。」
犯罪を止めることはできない。でも、真相は指摘できる。自分はいったい誰を救うのだろうか、と頭をかきむしる。
「優午は重荷だったんだな」
「そのうち、「自分がいるから事件は起きるのではないか」きっとそう思うはずだ。」


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