2008年1月28日月曜日

高学歴ワーキングプア

水月昭道


少子化の中、大学院重点化により増え続ける大学院生。

専門家の象徴である博士号を取ったとしても、大学のポストは全くあいておらず、企業からも「博士は視野が狭い」と敬遠されがちで、少ない空きポストを求めて、非常勤講師やコンビニバイトで年収200万円のフリーターとして働く人が多い。

ある学生は修士修了の時に、就職の相談に行ったら、「博士課程に進学したらどうだ」と教授に勧められ、大学院を修了するときには、就職先が全くない状況に気付き、教授に相談しに行くと「自己責任だ」と言われる。
こう聞くと、「何を甘いこと言っているのだ。」と思う人もいるだろう


確かに、大学院重点化によって、一番被害を受けているのは、本来大学院を作る必要のない私大の博士課程などに入学した学生かもしれない。

ただ、やはり、私も「何を甘いこと言っているのだ」という感覚は拭いきれない。
博士自身が社会に貢献できることを「広い視野で考える」という姿勢が、もっと必要だと思う。

就職先として、自分の専門分野を直接活かすことだけを求めていては、就職先が少ないことくらい分かりきっていることではないか?

博士の強みは、何もその人が極めた専門知識だけではない。

本書の第6章の方でも触れられているが、博士課程の学生になると、研究を最初から最後まですべて任せられて、自ら考えていくということが必要になってくる。
この中で培われる理解力、分析力、仮説力、などはどんな分野でも発揮できる大きな力になるはずだ。

博士課程を、大学教員の仕事を得るための過程と捉えるのではなく、人生のキャリアパスとして捉え、博士号を取得する上で培った能力を発揮する可能性を広い視野で模索した方がよいと思う。

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