2008年2月1日金曜日

パレード

吉田修一

都内の2LDKマンションに暮らす男女4人の若者たち。
「うわべだけのつきあい?私にはそれくらいが丁度良い」。
それぞれが不安や焦燥感を抱えながらも、本当の自分を装うことで優しく怠惰に続く共同生活。
そこに、男娼をするサトルが加わり、徐々に小さな波紋が広がりはじめ・・・

第15回、山本周五郎賞受賞作。
時系列でつながりながら、5人の一人称の描写によって物語が進んでいく。
5人それぞれ、実に個性があって、それをうまく表現していると思う。

エクソシストの吹き替えを大原麗子がやっているかのように・・・

私は「あのときはごめんなさい」と謝らない。
もしも私が謝れば、丸山君は、あのときの愚かな私を許してあげなければならないからだ。

結局、琴も良介も、自分たちのそばにいて欲しいと願う人物像を、サトルに重ね合わせているのだと思う。
そして、実は誰よりも世慣れているサトルが、そんな二人の思いを読み取り、ある意味、こそくなまでに、彼らが求める人間になりすましているように私には思われる。

そして、この物語は怖い。
最後は、2重に怖い。

0 件のコメント: