次々死んでゆく同士を思い、竜馬は暗涙に咽んだ。
「諸事、この眼で見ねば分からぬ」というのが、勝と竜馬の行き方である。現場を見たうえ、物事を考える。身もせぬことをつべこべ言っているのは、以下に理屈が面白くても空論に過ぎぬ、というのが、、この二人の行き方であった。
とにかく、勝には、妖精のにおいがする。そのいたずらっぽさ、底知れぬ知恵、幕臣という立場を超越しているその発想力、しかも時流の脇にいながら、神だけが知っているはずの時流の転轍機がどこにあるかを知っている。
竜馬がいつ来ても鈴虫が生きているように、入念に飼い育てていたものに違いない。心づくしという言葉がある。茶道の言葉である。
「人をもてなす心の働き」という意味であろう。
こういう年少者の熱っぽい語調で語られる報告を頭に入れると、どうも冷静な客観的判断を失うと思ったのである。
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