2009年7月7日火曜日

ナポリ/田之倉稔

確かに、タクシーをのると、広い道路を勝手に横断する歩行者を見たり、交通規則を無視して走る車に出会ったりする。そんなとき運転手は「ナポリ人はみな、プルチネッラだ」などという。それほどナポリの大衆はこの道化に自己の分身を見ている。

今まで訪れた都市で、もっとも興味深かったのがナポリである。

ナポリは治安の悪い都市として有名である。「サファリ・ルック」などという意地の悪い冗談を観光業者は使うようである。バスから降りずに市内観光することを指すのだそうだ。

ヴォイエッロというパスタには、プルチネッラが描かれている。
元来、スパゲッティはナポリからイタリアに広まり、やがて国境を越えていったものであるから、このプルチネッラ印が、本場のしるしといえよう。

市民の食であったピッツァを宮廷が取り寄せ、王妃のマルゲリータが食べた。
ピッツァマルゲリータの由来である。

「地球で最も美しい国に、最も愚かなものが住んでいる」
美しい歌を歌う人魚の街・・・ナポリ。

トマトソースの考案とパスタとの融合はナポリ料理の最大の功績である。

他の地域の人にとっては、ナポリ語は喜劇的に響くようである。


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