2009年7月3日金曜日

竜馬がゆく(6)/司馬遼太郎

幕府を倒すには、薩摩と長州が力をあわせれば可能であろう。しかし、互いに憎悪しあっているこの両藩が手を組むとは誰も考えなかった。
奇跡を、一人の浪人が現出した。

戦国の武士には、己の男を立てることと己の功名を立てることしかなかった。くだって徳川氏全盛の世の武士は主君と藩への忠義しかない。
今は違う。融資はそのココロザシに殉ずる時勢になっている。

竜馬の平等思想の根拠は、この用語(日本人)の中に込められている。

幕府を倒して、政府ができてもみなは役人になるな。一方では海軍を興し、一方ではこの亀山社中を世界一の商社にする。そのつもりでやれ。

年上の人を相手に猥談をしちゃならん。図に乗って、淫談戯論をするうちに、どうしてもその語中に見下げられるところが出てくる。年者は面白がりながらも心中、軽蔑する。

静止などは取り立てて考えるほどのものではない。何をするかということだけだと思っている。
世に生を得るは、事を成すにあり、と自分は考えている。

武士の道徳は、煮詰めてしまえばたった一つの徳目に落ち着くであろう。潔さ、ということだ。



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