2009年7月4日土曜日

竜馬がゆく(8)/司馬遼太郎

慶応三年十月十三日、京は二条城の大広間で、十五代将軍徳川慶喜は大政を奉還すると表明した。
時勢はこの後、坂を転げるように維新にたどりつく。
しかし竜馬はそれを見届けることも無く、歴史の扉を未来へ押し開けたまま、流星の様に。

「全て西郷らに譲ってしまう。おれは日本を生まれ変わらせたかっただけで、生まれ変わった日本で栄達するつもりは無い。」
「こういう心境でなければ大事業というものはできない。おれが平素そういう心境で居たからこそ、一介の処士にすぎぬ俺の意見を世の人々も傾聴して来てくれた。大事を成し遂げえたのも、そのおかげである。」
「仕事というものは、全部をやってはいけない。8分まででいい。8分までが困難の道である。あとの2分は誰でもできる。その2分は人にやらせて完成の功を譲ってしまう。それで無ければ大事業というものはできない。」

「世界の海援隊でもやりましょうかな」


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