2009年11月22日日曜日

水滸伝(17)/北方謙三

[関勝]

童貫と鄷美が、怒涛の猛攻を開始した。董平率いる双頭山が総力を挙げて迎え撃つが、次々と同志は討たれていく。更なる禁軍の進行を止めるため、候健は偽の講和案を進めていた。巧みに高俅を信じさせるが、そこには思わぬ落とし穴が待ち受けている。一方、致死軍と高廉の軍の決戦がまじかに迫っていた。闇の中で両者は息を潜め、刃を交えるときを待っている。
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「その犬にだまされ、いいように利用されていたお前は犬以下ではないか。」

「おまえにかしずきながら、いつも反吐が出るような思いがしたものだ。それも、もうなくなる。よいか、高俅。梁山泊の志は、不滅なのだ。それは、人の心の清い部分に宿るものだからだ。お前の野望は、酷い汚れた部分に宿っている。後世、お前はどうしようもない男として、扱われるのだろうな。犬以下の馬鹿として。」


「共に戦えないのは無念であるが、わが魂魄はこの梁山泊にある」

「私の身代わりになって、劉唐が死んだからかな。劉唐に私は弟に対するような感情を持っていた、という気がする。」
「俺は何も聞かなかったよ、公孫勝。お前は虫の好かない、いやな野郎のままだ。こういう話は、お前らしくないしな。」

「志を全うしようと思えば、病んでもならんのだ、楊令。俺は病んだ。腹の中にいる病ごときに殺されるのが無念でならん。」




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