2008年8月11日月曜日

さまよう刃

東野圭吾

一人娘が花火大会の帰り道に襲われ、殺された長峰は、謎の密告電話によって犯人を知る。
犯人の一人を殺害し、さらに逃走する一人を追う。

正義とは何か?

これがこの小説のテーマ。

色々考えさせられます。

若手刑事「自分の本当の気持ちは、長峰さんが復讐を果たせればいいと思っています。」
ベテラン刑事「そういう気持ちになるのは当然だ。そのことに罪悪感なんて持たなくていい。」俺たちは道徳の教師じゃないし、牧師でも無い。ただの刑事なんだ。正義とは何かなんて考える必要はない。この問題について議論する必要はないんだ。少なくとも刑事である限りはな。」

和佳子「長峰さんの行動に対して、あたしなりに答えを出さなきゃいけないと思って居るんです。理由はどうあれ復讐はいけないことだ、なんていう形式的な論理だけで、行動したくないんです。それでは自分の頭で考えたことにならないと思うんです。心情的に、あたしは長峰さんの気持ちはとてもよく分かります。あたしだって、長峰さんと同じ立場なら、同じ事をしたと思います。だったら、まずは、協力すべきだと思うんです。長峰さんと行動を共にしながら、何が正しいのか、自分の頭で考えていきたいんです。」

自分たちが正義の刃と信じているものは、本当に正しい方向を向いているのだろうか?と織部は疑問を持った。向いていたとしても、その刃は本物だろうか。本当に「悪」を断ち切る力を持っているのだろうか。

「警察というのは何だろうな。正義の味方か。違うな。法律を犯した人間を捕まえているだけだ。警察を市民を守っている分けじゃない。法律の方だ。法律が傷つけられるのを防ぐために、必死になってかけずり回っている。ではその法律は絶対に正しい物なのか?絶対に正しい物なら、なぜ頻繁に改正が行われる?法律は完璧じゃない。その完璧でない物を守るためなら、警察は何をしても良いのか?人間の心を踏みにじっても良いのか?」


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