たびたび思考が停止する。そういう「空白の時間」が増えているのではないでしょうか?
ほっといたらボケにつながりかねないこの”フリーズする脳”の問題を、北品川病院で臨床経験が豊富な筆者が語る。
患者さんを見ていて断言できるのは、「脳は環境で作られる。」ということ。
ところが、環境が常にバランスの良い訓練の機会を脳に与えてくれるとは限らない。
- 一日中パソコンに向かう仕事は危ない。
- 耳にはヘッドフォンを当てて、音楽を聴いている。
- コミュニケーションは基本的にメール
- 思い出す代わりのように、インターネット検索
- 計算などの雑多な作業はPC任せ
- 家族と話すこともなく、テレビを見て寝る
脳の使い方が偏っていて、「何か」をしなくなってきている場合が多い。
最初は忙しいからやらないつもりでいても、いつの間にか苦手になり、逃げ手になるとますますやらなくなり、やらなくなるとできなくなるという、その悪循環の先にあるのが、実はボケ症状です。
大事なのは、以前の自分と比べて、何ができなくなっているのかを常に気にかけ、それを補おうとしていくことです。
何ができなかったかを、備忘録として手がかりを残すことも重要。
新鮮に感じることを持ち続ける。
五感がとらえるものすべてが情報。その整理されていない、しかも刻々と移り変わっていく多面的な情報を自分の意志でとらえて状況判断をする。テレビなどのできあがった情報を入れても、脳は鍛えられない。
- 商談の最中に不意に言葉が出なくなる、人前で話すのが怖くなった証券マン
- できていた自分のイメージからかけ離れていく、
- 後は部下に説明を任せることが多くなり、変化に対応できなくなるフェイントに引っかかりやすい人になってきた。
- よく知っているはずの名前が思い出せない、思考がちぎれていく大学教授
- 話している最中に何を話しているのかわからなくなる、というのは、自分の思考をコーディネートできなくなっている状態だと考えられる。
- 記憶を引き出しやすくする3つの方法
- 繰り返し思い出すこと。お気に入りに入れて、それで終わり。という習慣はだめ。
- ファイル化すること。7つ以内に分け、さらに細分化していく。
- 引き出すときの手がかりを増やす。「どこそこで、お会いした○○さん」
- PCの前で頻繁に自失する、空回りし、疲弊していくシステムエンジニア
- 視野が狭い状態で、長時間いるのは、高速道路を長時間運転しているのと同じ状況
- 5感による立体感・質感・現実感への対応が脳を動かす。
- 働き盛りの人がぼけていくのは、何もしていないような場合ではなく、何か一つのことをやりすぎていること。
- 3つの対応策
- 生活の原点を作る。時差ぼけを治す
- 朝一時間歩く。
- 新聞などを音読する。
- ネット依存的な生活を送っているウチに物忘れが激しくなった総務部主任
- ネット依存と「思い出す力」の低下
- 「知識は覚えるものだ」という意識が希薄になり、「その場で消費するものだ」という意識がより強くなってきている
- 脳の機能は階層的になっていて、基礎の部分がはっきりとして、初めてより高度な活動ができる
- 「部屋の片付け」は高次脳機能の訓練になる
- 会話の相手が複数になると、話が聞き取れなくなる、頭に入らなくなる営業マン
- 大切な情報は聞き分けなければとれない。
- カクテルパーティー効果は、360度からやってくる情報を聞き分ける非常に難しい高度処理。
- 一日中イヤホンをしている生活は、無自覚に聞き分けるという行為を行っていない。
- 長い話を理解するときは、大まかなイメージをとらえようとしないと、頭に残らない。イメージを取らないで、言葉の一つ一つを覚えようとしているのでは?
- 転職先の企業でたびたび思考停止状態に陥るようになったエリートビジネスマン
- 言語体系が違う(専門用語を使いすぎる)と聞き取れない
- 働く環境の違いになじまないと、聞き取れない。
- これは、馴染んでくると解決するという簡単な問題
- 文章が思い浮かばなくなり、偏執的に見直しを繰り返すフリーライター
- 本人が全く無駄なように思っている雑多な活動に、実は脳を訓練する作業が多く含まれている。
- あまりにもシンプルな生活を送っていると、組み合わせる情報の片方が致命的になくなってしまう。
- 上司になったとたん、考える力が衰え仕事ができなくなった元「優秀な部下」
- 上司になることによって全体的な流れを判断する必要が出てくると、部下の時代に10と考えていたことを1と考えるような大まかさが必要になる。
- すぐ感情に支配され、頭の中が真っ白になる、元「冷静なキャリアウーマン」
- 感情が爆発しやすくなる人は、それをまず積極的に抑える(自分を癒す)という行為が必要
- 集中力が続かず、空白の時間が増えていく「勝ち組」志向の司法浪人生
- 脳をバランス良く鍛えておくためにも、活動はマルチにしておかなければならない
- すべての面で満足のいく環境を整えたら、やる気がわいてくると言うことはなく、逆境の中でやりくりするからこそ、やる気がわく
- 「仕事をしているのにこれだけ勉強できたから、仕事をやめたらもっと勉強できる」というより、仕事が忙しいからこそ、勉強もはかどる
- 常に、社会の歯車になって、脳を回転させておく必要はあり、その中で、自分の意志を強く持つと、それに対する考えや勉強の回転も速くなる
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