2008年5月18日日曜日

「吐きたいほど愛してる。/新堂冬樹」

愛ーー、それは気高く美しきもの。そして、この世で最も恐ろしいもの。
新堂冬樹にしか描けなかった、暗黒純愛小説。

これまで、新堂冬樹の作品は、「カリスマ」→「黒い太陽」→「忘れ雪」と読んできた。
宗教団体、キャバクラと暗黒の世界を描いた2つの作品の後に、純愛小説を読んだという感じです。
その相反する2つの側面を合わせたかのような謳い文句に、惹かれて、怖いもの見たさに読んでしまったけど、キツかった・・・。

「半蔵の黒子」の描写は、ものすごくグロテスクで、後の3作品を読むのをためらってしまいました。

これはちょっと夢に出てきそうなくらい、強烈なインパクトがあります。
とても、誰にでも進められる本ではないな。

「半蔵の黒子」
歪んだ愛情を描いてますが、それ以上に歪んだ生活の描写がグロテスクで・・・吐きそう。

「お鈴が来る」
これぞ、歪んだ思考から来る純愛といった感じがします。
こういう人から愛されていることが怖い・・・っていう寒気が。

「まゆかの恋慕」
この本の中では、まだ読後感が良い感動作でしょう。

「英吉の部屋」
半蔵と同じく、主人公の思考に対して嫌悪感がわき上がる作品。
最後のあらゆる言い訳の描写がわざとらしくも感じるけど、まさに吐きたくなる愛情表現。


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