2009年10月21日水曜日

水滸伝(7)/北方謙三

[雷横]

聞煥章が宋江の場所をつかんだ。宋江は太原府の山中に追い込まれ、一万数千の官軍に包囲されてしまう。陶宗旺が石積みのわなを仕掛け、攻撃に備える。官軍は包囲網を狭め、ついに火攻めを開始した。飛竜軍、朱仝と雷横の兵、さらに、林冲の騎馬隊が宋江の元へ駆けつけていく。一方、青蓮寺は史進率いる少華山の殲滅を目論む。その謀略に対して、史進はある決断を下した。


「志があるべきかなど、一人一人で違う。お前は土を捨て、戦いを選んだ。大事なのは、それなのだ。戦い抜くことができるのか。自分が選んだことをやり遂げられるのか。志は、難しい言葉の中にあるのではない。お前のやることの中にある。」
「立ち止まらずに、考えろ。戦いながら、考えろ。それで、見えてくるものがある。立ち止まっていれば、今と同じものしか見えん。そういうものだぞ。」

「俺は軍人だ、陶宗旺。だから死に様は大事にしている。邪魔はするなよ。」


俺は、まだ立っている。雷横は思った。男は、決して倒れたりはしないのだ。


「お前は、穢れてはおらん。人は、自ら穢れるのであって、他人に汚されるのではない。そうなのだぞ、金翠蓮。」




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