2011年10月19日水曜日

風の男 白州次郎/青柳恵介

日本国憲法誕生の現場に立ち会い、あの占領軍司令部相手に一歩も引かなかった男。常に活眼を世界に注ぎつつ、我が道を行く天衣無縫の気概。物事の筋を通し、自説を曲げぬ強靱さ。と同時に、内に秘めた優しさ、しなやかさ、ユーモア。端正な面立ち、洒落た身なり、寸鉄の片言。正子夫人を始め、この男に魅せられた人々の「証言」から蘇る「昭和史を駆け抜けた巨人」の人間像。
----
ホイットニー「白州さんの英語は大変立派な英語ですね。」といった際、「あなたももう少し勉強すれば、立派な英語になりますよ」と応えた男。

「池田さんはいい人だと思ったな。ところが偉くなったらダメだった。洒落た洋服を着て、演壇に立つときに斜に構える、あぁなったらいかんです。」

「人に好かれようと思って仕事をするな。むしろ半分の人間に積極的に嫌われるように努力しないと、ちゃんとした仕事はできねえぞ」

S.Gウォーバーグという会社は、大学で経済や政治を専攻したものを採用せず、歴史や文学を学んだものを採用するならいがある。ウォーバーグが日本経済の将来に期待をかけたのも、単なる経済的な見透しではなく、日本の歴史、日本人の精神性を高く評価した故のことであるという。




0 件のコメント: