2014年1月26日日曜日

諦める力~勝てないのは努力が足りないからじゃない/為末 大

える人生か。選ぶ人生か。
前向きに「諦める」ことから、自分らしい人生が開けてくる。

諦めることは、逃げることにあらず。
与えられた現実を直視し、限られた人生を思い切り生きるために、
よりよい選択を重ねていくことこそが「諦める」ことの本質である。
オリンピックに3度出場したトップアスリート・為末大が、
競技生活を通して辿り着いた境地。


【目次より抜粋】
■第1章:諦めたくないから諦めた
・手段を諦めることと目的を諦めることの違い
・「勝ちやすい」ところを見極める
■第2章:やめることについて考えてみよう
・「せっかくここまでやったんだから」という呪縛
・「飽きた」という理由でやめてもいい
■第3章:現役を引退した僕が見たオリンピック
・「勝てなくてすみません」への違和感
・コーチを雇う欧米人、コーチに師事する日本人
■第4章:他人が決めたランキングに惑わされない
・積む努力、選ぶ努力
・どの範囲の一番になるかは自分で決める
■第5章:人は万能ではなく、世の中は平等ではない
・生まれによる階級、才能による階級
・「リア充」なんて全体の10パーセントもいない
■第6章:自分にとっての幸福とは何か
・世の中は平等ではないから活力が生まれる
・どうにかなることをどうにかする
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世の中には自分の努力次第で手の届く範囲がある。
その一方で、どんなに努力しても及ばない、手の届かない範囲がある。

手段は諦めて良いけど、目的を諦めてはいけない。

日本人は「せっかくここまでやったんだから」という考え方に縛られる傾向が強い。

成功する確率の低い若者に、「君はこの先に進んでも成功するのは無理だよ」といってあげる大人が必要なのでは?

先に場やシチュエーションを作ってしまえば、それにふさわしくなっていく。

日本人は、大きなイベントの節目までがんばってから引退するという考え方がある。

よく周囲との関係を断ち切れないと良いながら自分が居ないと日常が回らないと思うことで安心している人が居る
本当は自分が居なくても社会は回り続けるのに、それを思い知らされるのが怖い。

関係性を断ち切れば、そこまで周囲から受けていたポジティブな評価もすべて切り捨てることとなる。これはけっこうつらい。

「成功しなかったかもしれないが、夢を追いかけた日々が尊い。」本人が割り切るのは良いが、コーチがそう言ってしまうのは違うのではないか。

多くの日本人はあまりにも人から選ばれようとしすぎては居ないか。人に受け入れて欲しいと思いすぎていないか。

競技人生を振り返って、自分の自信の核になっているのは勝ったことではなく、負けを受け入れ、そこから立ち直ったこと。勝負に負けたくらいで傷つかなくなったこと。

母の「いつやめてもいい」という言葉があったからこそ、「陸上はやめたくない」という気持ちが強く働いた。

今の自分の力で「やりたいこと」をやるのか「できること」をやるのかどちらをとるのか。

期待値が低ければ低いほど、自由にチャレンジできる。

「やめてもいいんだよ」「やっても得にならないよ」といわれても、意に介さずやる人に共通しているのは、他人に評価してもらわなくても幸福感が得られている。

ものに縛られないことの豊かさや幸福感というものに、多くの人が気づき始めている。

「才能じゃない。努力が大事なんだ」一見すると勇気づけられるこの言葉がある段階を過ぎると残酷な響きになってくる。



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