2011年6月4日土曜日

アイデアのちから/チップ・ハース、ダン・ハース

全米でも150万部を超える「支持」を得た本書は、実はこれも全米ベストセラーの
マルコム・グラッドウェル著『ティッピング・ポイント』(邦訳は『急に売れ始めるにはワケがある』ソフトバンク文庫)に触発されて書かれた。
『ティッピング・ポイント』では、流行や社会現象を起こすものには、
(1)少数の目利きに浸透する、(2)記憶に粘る、(3)背景が味方する、
の3つの法則があることを明らかにした。
本書は(2)の「記憶に粘る」という点をより深く、より多角的に取り上げ、一度聞いたら決して忘れないメッセージ、人を行動に駆り立てるような言葉について、以下の6つの法則を明らかにした。

(1)単純明快である(Simple)
(2)意外性がある(Unexpected)
(3)具体的である(Concrete)
(4)信頼性がある(Credible)
(5)感情に訴える(Emotional)
(6)物語性(Story)
頭文字をつなげてSUCCESs(サクセス)の法則と著者たちは呼ぶ。

ジョン・F・ケネディ米大統領の「人類を月へ」という演説はアメリカ国民を熱狂させ、ソニー創業者の井深大の「ポケットに入るラジオ」というコンセプトは、ソニーを世界企業に飛躍させた。すごいアイデアは人を動かし、歴史を動かす。そうした具体例が豊富に盛り込まれたアイデア創造のヒントになる内容となっている。
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「記憶に焼きつくアイデアをどうやって組み立てるか」、ということに焦点を絞っている。

さて、改めて、、、

記憶に焼き付くアイデアとは?
臓器狩り。ハロウィーンのお菓子。映画のポップコーン。
記憶に焼き付く=理解できる、記憶に残る、考え方や行動を変える効果がある。

成功するアイデアを作るためのチェックリスト。
「単純明快で、意外性があり、具体鉄器で、信頼性があって、感情に訴える物語」

単純明快:Simple
核となる部分を見出す。
「最格安航空会社」逆ピラミッド:リードを埋もれさせるな。
核となる部分を伝える。
諺:深い意味を持つインパクトの強いフレーズ。
「記事を書く時間が2時間あれば、最初の1時間45分をかけてよいリードを書くのが最適な時間配分だと思っている。そうすれば、あとは簡単に書ける。」
「3つ言うのは何も言わないに等しい」
「全てを完璧な正確さで、今すぐ伝えたい。だが、本当は役立つ情報だけを与え、追加情報は後から小出しにすべきなのだ。」
「キャストは採用面接ではなく、役をもらうためのオーディションを受ける。園内を歩くときは、舞台にいるのと同じ。ディズニーランドを訪れる人々は、顧客ではなくゲストである。仕事はパフォーマンス、制服はコスチュームである。」

意外性がある:Unexpectable
関心をつかむ:驚き「ポケットに入るラジオ」「人類の月面着陸」
「感情によって、私達は行動や思考を用意する。怒りは戦いと自分の判断への確信の、恐怖は逃走の、そして、驚きは、注意を喚起する。」
意外性を見出す
1.自分が伝えるべき中心的メッセージを見極める。
2.そのメッセージの意外な点を探し出す。
3.どきりとさせる意外なメッセージの伝え方で聞き手の推測機械を破壊する。
優れたリードは、「来週の木曜は休校となる。」である。
「ジャーナリズムとは事実を反復することではなく、ポイントを見つけることだと気づいた。」
「謎には威力がある。結末を知りたいという欲求を生み出すからだ。」

具体的である:Concrete
理解と記憶を促す。アジアの数学教師の教授法。ドラマ形式で教える会計の授業。
「誰もが流暢に話せる「普遍的な言語」を見出すことだ」
「ボーイングの目標:「定員131人、マイアミ→NY間のノンストップ飛行が可能で、ニューヨークのラガーディア空港の4-22番滑走路に着陸できる旅客機」「世界一の旅客機」ではなかった」

信頼性がある:Credentialed
説得力のある細部の利用。
「陪審員への余計な詳細情報で、信頼性を上げる。ダースベーダの歯ブラシ」
「広島に落ちた原爆:BB弾一個。米軍もしくはソ連の一隻の原子力潜水艦に搭載されたミサイル:BB弾10個。世界にある核兵器:5000個」
「会社の従業員へのアンケート結果をサッカーチームへ例える。自分達のゴールが分かっている選手は11人中4人。それを気に留める選手は11人中2人。十分のポジションとやるべきことを把握しているのも11人中2人。」
「シナトラ・テスト:ここでうまくいけば、どこへ行ってもうまくいくさ」

感情に訴える:Emotional
心にかけてもらう:個人を見たときに私は行動する:マザーテレサ。
「私がピアノの前に座ると、みんな笑った、、、でも、弾き始めるとみんな黙った。」
「消費者は直径0.6センチの電動ドリルが欲しいのではなく、子供の写真をかけるための直径0.6センチの穴が欲しいのだ。」
「一次関数の標準系の役に立つ点について:一生必要ない。これから先、君たちが代数を使うことはないだろう。ウェイトリフティングするのは、路上で誰かに殴り倒されて、胸にバーベルを乗せられた時に備えるためではない。思い買い物などの荷物を運んだり、孫を抱き上げても筋肉痛にならないようにするためだ。君たちが数学の問題を解くのも、論理的な能力を高めて、よい弁護士や医者や建築家や親になるためだ。数学は頭脳の筋肉トレーニングだ。ほとんどの人にとっては、数学は何らかの目的を達成するための手段であって、それ自体が目的でない。」
「ピアノ二重奏が完全に消滅したら、なぜ世界が豊かでなくなるのですか?」
「ピアノは偉大な楽器です。オーケストラ全体の音域と音色を、一人の演奏者の支配下に置くために産み出された楽器です。ピアノほど音域の広い楽器は他にありません。この偉大な楽器を同じ室内に二台おけば、二人の演奏者が応え合い、音を積み重ねることができます。いわば、オーケストラの音を室内楽のように楽しめるのです。」
「一般の人が使う機会の中で最も複雑なものは、コピー機だろう。光学、機械、化学、電器の技術を全部使った日常の機械など、他にはない。」

物語性:Story
「問題解決には、悩みについて情報を集めたり、好ましい結果に終わる様子を想像するだけでなく、どのように発生し、その時の状況、周りにいた人々、自分置いた場所、自分の取った行動を思い起こしたことが解決に繋がる。」
「お金持ちになる方法を指南するなら、リッチになった自分を想像するより、貧乏になった経緯を思いだそう」と勧めるべきかも知れない。」
「人を励ます物語には、挑戦・絆・創造性の筋書きがある。」
「情報管理の規律改善を打ち出すよりも、それでこまったザンビアの逸話の実例の方が効果がある。」


「アイデアを発見するのが得意な人は、想像が得意な人に必ず勝てる。なぜなら、どんなに創造性があるといっても、1人の産み出す優れたアイデアの数は、世界に生まれ続ける優れたアイデアの数に適わないからだ。」
「話術に長けた頭の良い人が、アイデアを聞き手の記憶に焼き付けられないのは、大量の情報の中にリードを埋没させてしまうことと、メッセージよりもプレゼンテーションを重視してしまうから。」


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