2009年6月7日日曜日

急に売れ始めるにはワケがある/マルコム・グラッドウェル

ヒットを作るには、膨大な予算が必要というわけではありません。小さな変化が大きな結果を生むのです。本書は流行現象をクチコミによる感染と捉え、そのメカニズムを説き明かします。
「少数者の法則」「粘りの要素」「背景の力」は、マーケティングに興味を持つ人には、必須の知識。

先見性溢れる「ティッピング・ポイント」。
あるアイディアや流行もしくは社会的行動が、閾値を超えて一気に流れ出し、野火のように広がる劇的瞬間のこと。

ティッピング・ポイントの世界とは、予期せぬものが予期されるものとなる世界である。

・少数者の法則
80対20の法則。
これはどのような状況にあっても、「仕事量」のほぼ80%はそれに関わった人の20%によって達成されるという考えである。

マスコミが発達し、数百万ドルもの資金を投じた広告宣伝が珍しくない現代においても、クチコミが人間の意思疎通の最も重要な形式であることは間違いない。
食事・映画・洋服、あなたがお金を気前よく使うとき、友人の薦めで決断を下す場合がどれくらいあるだろうか?

見るグラムはほとんどの手紙が、相手に届くまでに、5段階か6段階経ていることを発見した。この実験から、関係の6段階分離という概念が産まれた。

- コネクター
社会的に河の役割を果たす。
関係の6段階分離説は、全ての人が自分をのぞく全ての人とちょうど6段階で繋がっていることを意味しているのではない。ごく少数の人がわずかな段階でその他全ての人と繋がっていることを意味する。
残る人々はこの特別な少数者を通じて世界と繋がっているのである。
どんな職種の人にも、友人や知人を作る並外れたコツを体得している一握りの人がそこかしこにちりばめられている。
例えば、コネクターは、豊かな人脈を形成するための直感的で自然な才能のようなものが備わっている。彼は過剰に社交的な人ではない。人に取り入ろうとする態度が見え見えのやたらに愛嬌を振りまくような人ではない。彼はむしろ観察家だ。

人とのつきあいを持続するようにして居るんだよ。
切手を集める人のように、知人を集めている。

ロッドスタイガーが全ての俳優と競演している俳優といえるのは、俳優として関わることができる様々な業界、サブカルチャー、隙間産業を股にかけ、レベルの違う仕事を縦横無尽にこなしてきたからである。

この人達は、可能性を見ているのだ。我々はつい忙しさに紛れて自分が知り合いになりたい人だけを選び、うさんくさい人や何年もあって居ない人などを捨ててしまうが、コネクターは全てを受け入れているのである。
弱い絆の達人。

- メイヴン
データバンクの役割を果たす。
どうすれば良い買い物ができるかが分かったら、それを他人に教えたがっている。
クチコミによる伝染を指導させるための膨大な知識と社交的技術が備わっている。

- セールスマン
説得する技術を持ったグループ
影響力の強い個性があるということは、他人を自分のリズムに引き込み、相互作用の流れを支配する力があるということなのだ。
カリスマ的な人だけが自分の感情を相手に感染させることができるのである。

私たちは、互いに似ているから友人になるだけでなく、同じ活動をしていることからも友人になる。

・粘りの要素
メッセージをより感染性の強いものにするにはどうしたらよいか、製品やアイディアをより多くの人に届けるにはどうすればいいか。
コミュニケーションの難しい部分は、つまるところ、あるメッセージが相手の一方の耳から入って、もう一方の耳から出て行かないようにするところにある。
つまり、記憶に粘り着く。

・背景の力
集団で居ると責任感が薄れ、行動を起こす人が少なくなる。
何かを語るときにそれを取り巻いている状況のほうが、語られた内容よりも重要になる場合があるのだ。
ヘッドホンの聴取試験だと行って、頭を左右と上下に振る被験者と、動かさない被験者の授業料値上げに対する意見の違い。


・粘りの要素
相手に覚えてもらおうと思ったら6回は繰り返さなければならないというのは、鉄則。金の箱というアイデア(広告に金の箱を書き込み、コマーシャルでその意味を宣伝する)というアイデアは、視聴者に粘りの要素を与えた。
情報提示の仕方にさりげなく、しかし有意義で実践的な情報を付加する。
セサミ・ストリートの製作背景、粘り測定装置(目線、実験)幼児は、ある事柄が2つの名前を持つことに困難を覚える(相互排他性)ブルース・クルーズの繰り返し効果、幼児の学習過程(理解と予測)に沿った番組作り。
・背景の力感染は、それが起こる時と場所の条件と状態に敏感に反応する。看守と囚人の実験、決定要因が一掃されるような状況が存在する。正直さのような特徴は、背景に大きく左右される。性格は、背景によって決まる。困った人を助ける実験、善きサマリア人を主題にした学生か否かではなく、急いでいるかいないかによって決まる。
・150の法則という背景脳の大きさは、グループの規模によって、決まってくるという説。霊長類の新皮質率と集団生活規模の関係から、人間は150という数字が割り出される。150以下であれば、規範なしでも同じ目標が達成できる。仲間内でのプレッシャーは、上司からの管理構造よりもはるかに強力。
・商品はどのように感染するのか?高度に専門化されたアイディアや製品を、一般の私たちにも分かりやすく説明してくれる翻訳者が重要。何か新しいことを始めるイノヴェータを発掘し、彼らの流行や考えを主流派に分かりやすく落とし込む。主流派の言葉を、主流派のために翻訳しては感染は終わる。
・自殺と喫煙喫煙は決してかっこよくない。タバコを吸う人がかっこいいのだ。感染要因と、習慣に粘る要因は異なる。喫煙をやめさせるためには、習慣に粘る要因のティッピングポイントを探し、変化を促せばよい。
・ティッピングポイントを押せば、世界は傾くその場しのぎのバンドエイド的な処理を侮ってはいけない。バンドエイドは、最低限の努力と時間と費用で、問題を解決してくれるという最善の策だ。自分の努力を一点に集中する。世界は直感とは一致しない。

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