2010年7月17日土曜日

木のいのち木のこころ/天 西岡常一、地 小川三夫、人 塩野米松

法隆寺を1300年守ってきたのは、職人の手から手へと引き継がれてきた技と知恵。それは決して言葉にできない手の記憶である。"最後の宮大工"西岡常一が木と人の育て方を語る<天>の巻。三度追い返されながらも遂に西岡の唯一の内弟子となり、夢を実現させた小川三夫が、宮大工の未来を語る<地>の巻。さらに小川が主催するいかるが公社の若者19人へのインタビュー<人>の巻。
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法隆寺や薬師寺に参拝に来て、そこにどれだけの人が参加してこれを造ったのか、全て人の手で造られたんやということを、ちょっとでも考えてみてくれると良いですな。
姿勢が悪くても、力の入れ具合が悪くても、癖があっても、刃は研げません。
そのたびに「何でや」と思いますやろ。それで考えるんですな。そして先輩のすることをよく見ますな。
素直に、自分の癖を取って、自分で考え、工夫して、努力して初めて身につくんです。
苦労して考え考えやっているうちに、ふっと抜けるんですな。そしてこうやるんかと気が付くんです。こうして覚えたことは消して忘れません。

丸暗記したほうが早く、世話はないんですが、なぜと考える人を育てるほうが大工としては良い。

「神仏をあがめずして社頭伽藍を口にすべからず」
「家宅は住む人の心を離れて家宅なし」
「伽藍の造営には四神相応の地を選べ」
「堂塔建立の用材は木を買わず、山を買え」
「木は生育の方位のままに使え」
「堂塔の木組みは寸法で組まず木の癖で組め」
「木の癖組みは工人たちのこころ組み」


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